日本ALS協会 茨城県支部交流会 2018年10月28日(日)
会場 那珂市ふれあいセンターよこぼり
NEW
第2回交流会は、日立保健所、ひたちなか保健所、常陸大宮保健所と共催して、定例で開催している総会、交流会とは趣きを変えて行いました。
※当日の様子を抜粋してまとめてあります。ご了承ください。
保健所からの情報 平成30年 10月作成
共催した保健所から、制度やサービスの情報をいただきました。
1. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが利用できる制度など
◇保健所が窓口となるもの
・相談事業
患者さんやご家族の要望等をうけて、保健師等が電話、窓口相談、家庭訪問等により在宅療養生活に必要な情報提供などを行います。
・難病医療費助成制度
認定された疾病に対する医療費等(診療、調剤、訪問看護)の一部に対する助成が 受けられる制度。(毎年更新申請が必要。加入する保険(世帯)の課税状況や、月ごとの総医療費の額、人工呼吸器装着状況により1ヶ月の自己負担限度額が変わります。)・難病患者一時入院事業
在宅で人工呼吸器を使用している患者さんを介護する方が、休養(レスパイト)や病気、冠婚葬祭などで介護ができない時などに、患者さんが医療機関に一時入院することができます(原則14日間)。・在宅人工呼吸器使用患者支援事業
在宅で人工呼吸器を使用している患者さんが、医療保険で定められた回数を超えて1日複数回の訪問看護が受けられる制度です。・難病医療拠点病院、協力病院設備整備事業
事業の補助を受けた医療機関が、在宅療養中の人工呼吸器使用難病患者さんに対し、非常時に備え自家発電装置等を無償で貸与しています。
◇市町村が窓口になる制度
・難病患者福祉手当(見舞金)
難病患者のうち要件を満たす方に難病患者福祉手当を支給しています。・身体障害者手帳の取得
税金の減免や交通機関・公共施設の割引、各種手当が受けられます。・介護保険サービスの利用
自宅の改修、福祉用具やヘルパー利用、介護保険施設への通所サービス、入所などの利用ができます。・障害者サービスの利用
障害者手帳がなくても、対象疾病で障害支援区分認定を受けれ ば、40歳以下で介護保険法非該当者が利用できるサービス。ヘルパー利用などができます。その他、マル福、特別障害者手当、障害年金などの申請窓口になっています。
◇難病受給者証所得によるサービス
難病患者さんの社会参加の機会拡大のため、指定難病の特定医療費受給者証をお持ちの方の茨城県立施設等の入館(場)料等を減免します。ひたちなか海浜鉄道は運賃が半額減免になります。
2. 災害等への備えは大丈夫ですか?
・患者さんとご家族、支援者の方が災害等の対応について話し合いをしましょう。
・災害等に備えて、平常時から避難場所や連絡方法を確認しておくことが必要です。
・ベッドの安全対策など、患者さんの周囲の点検と安全対策をしておきましょう。
【特に人工呼吸器などの医療機器を利用している方】
・停電時に備え内部バッテリーの確認を定期的に行いましょう。
・事前に災害時要援護者としての登録はお済みですか? 市町村及び保健所が情報共有することにご同意いただき、患者さんやご家族だけでなく、支援者などの関係機関にも災害等の対応が確認し合えます。
・東京電力に事前登録をしておきましょう。停電情報の提供や停電後の確認等が行われます。
・「難病等で在宅で人工呼吸器を使用している方へ」(小冊子) を配布しています。災害等の備えとして必要な事項が記載されており、患者さんの処 方や人工呼吸器の設定などの情報を記入しておくものです。
3. 難病患者さんの相談先は他にもあります
・茨城県難病相談支援センター
場所 茨城県立医療大学内 電話 029-840-2838 FAX 029-840- 2836
日時 月〜金曜日(年末年始、祝日除く)9:00 〜 12:00 13:00 〜 16:00
難病に関する総合相談のほか、茨城県産業保健総合支援センター と連携して、社会保険労務士による就労、障害年金等に関する出 張無料相談を受けています。・茨城県難病団体連絡協議会
場所 茨城県総合福祉会館4階 電話・FAX 029-244-4535
日時 月〜金曜日(年末年始、祝日除く)10:00 〜 16:00
難病患者就職サポーター出張相談 難病相談支援センターの相談員と一緒にハローワークの難病就職 サポーターが、就労相談を受けています。・難病カフェアミーゴ
毎月1回午後に水戸またはつくばで開催。患者さんや家族が気軽に集い、語り合い、情報交換をする場です。
電話 090-3805-3250(吉川)または 090-2986-8198(桑野)・モロモロの会(難病サロン)
茨城県立医療大学と付属病院との協働で立ち上がった会。おしゃべりや情報交換で患者さんの交流の場としています。
電話 029-840-2222 FAX 029-840-2322-
ミュージックタイム 出演 ドルチェ
リラックスできるお時間を過ごしていただければ、との企画で那珂市の音楽サークル「ドルチェ」のお二方をお迎えして、演奏と歌を楽しみました。
曲目
♪十五夜お月さん
♪花は咲く
♪もみじ・里の秋
♪ 365 歩のマーチ
♪アヴェマリア 交流会
現状での悩み事、質問などと、その答えをまとめました。
Q. どんな薬を使用しているか? 新しい治療を試しているか? どうしたら治験に参加できるか?
A ・県立医療大 河野先生
薬に関して、今飲まれているものは病気を根本的に治すもので はなくて、症状を緩和させる対症療法が中心となります。今、日本で行なっている治験の一つはビタミン B12 の点滴による治験が あります。根本的に病気を治すというものではなく、病気の進行 を少し遅らせるものになります。 欧米を含めていくつかの薬の候補が学会に出ていて、治験に移るのではないかというものもあります。ただ、どの薬も根本的に病気を治すことができるかというと、まだそこまでいっていないです。
治験に関しては、日本ALS協会のホームページに申し込み方法など、具体的な内容が掲載されます。病気の原因が徐々にいろんなことがわかってきていますので、 いい状態で療養していただくことをお願いしたいと思います。
・その他参加された患者さんはリルテック、ラジカットなどの薬を使用されていました。
Q 座位になると息苦しくなり、リバビリができない状態。有料老人ホームに入居しているが、24時間の介護を続けていて、家族の身体的ストレスが溜まってきている。どうしたらいいか?
A
家族だけの介護は精神的にも肉体的にも大変なので、ヘルパーさんに付き添ってもらいます。 重度障害者等入院時コミュニケーション支援事業という制度があります。
(重度障害者等入院時コミュニケーション支援事業は市町村での制度となり、県内ではつくば市の案内のみ確認しています)Q 肺炎を発症してしまう。
A ・県立医療大 河野先生
ALSは運動神経の機能が衰えてしまい、呼吸、飲み込みに心配が出てきます。喉の機能は気管切開をして誤嚥をしないようにすることで肺炎の回数も減ってくると思います。また食事の問題では、食事が摂れない、栄養が摂れないのも身体が弱くなっていくひとつの原因だと思います。胃ろうを作って栄養状態がよくなる と身体自体も元気になってきます。
Q 人工呼吸器をつけての外出に関して。移動の手段などは?
A
・社会福祉協議会で、車輌の貸し出しがあるので問い合わせてみてください。
(社会福祉協議会での車輌の貸し出しは協議会ごとの制度となり、行なっていない協議会もあります)A その他機器に関して
・気管切開に関してですが、吸引機は補助を受けられます。 (全国的に補助制度があります)
・まばたきなどを検知するスイッチを使用しています。Q その他の悩みごと、ご意見
・文字盤に関して、交流会などで使用方法や種類などの 情報があればと思う。
・意思伝達装置を(目の疲れによって)患者本人が消してしまい、使いたがらない。*意思伝達装置、コミュニケーション機器に関しては下記「意思伝達装置、コミュニケーション機器」をご覧ください。
・文字盤に関して、交流会などで使用方法や種類などの これからも新たな情報を掲載していきます。機器に使用するスイッチや、センサーなどに関しても、今後取りあげます。
参加された患者さんのお話
・家族にストレスを溜め込ませている状態です。なるべく自分で は気をつけようとしているが、結果的にはすごい責めている感じがするので、それをもう少し緩めてもっと穏やかに生活したいと思います。
ALSの患者の進行は人それぞれなので、進行の違いを感じて理解してやっていかないと耐えられない。耐えるためには目標を持つことです。
・精神的な部分で家族の長い将来を心配してしまうというなかで、同じ病気の方同士がいます。生きる使命があるんだということを、いろんな人たちがアドバイスするような感じです。我々も前向きに試練においてもぶつかっていきたいと思います。参加された遺族の方のお話
・5年前に患者を亡くしています。ようやく落ち着いてきたので気持ちの整理のため、また経験者として参加しました。いろんな選択があるので、個人個人、家族でよく話し合いながら決めていってほしいと思います。
-
意思伝達装置、コミュニケーション機器
交流会でよく質問のある、意思伝達装置、コミュニケーション機器に関して、よく使用されているものを紹介します。
透明文字盤
透明なアクリル板、またはプラ板に文字やよく使う単語、メッセージを書き使用します。
アプリ
スマートフォン、タブレットなどにアプリをインストールする ことによって、文字を入力して文章を作り、読み上げ、印刷、メールなどができます。また文字ではなく、シンボル(画像、アイコ ンのようなもの)を利用してメッセージを作ったり、オリジナル の文章を作成、登録して使用することができます。
・TALKING AID(トーキングエイド)
・指伝話(ゆびでんわ) など
各アプリに対応する操作用スイッチのキットもあります。
スマートフォン、タブレットからのパソコン操作支援
スマートフォンやタブレットを使用して、パソコンに入力することができます。
・Rickey+ などインターネット閲覧支援
マウスを使わずに操作のできるブラウザです。
・Pete ブラウザ などパソコン操作支援
スイッチやセンサーを用いてパソコンを操作し、文章作成、メー ル、LINEなどができます。
・伝の心
・OriHime eye(オリヒメアイ)
・Pete(ピート)など
指伝話伝の心パソコン、スマートフォン、タブレットやOSのアクセシビリティ(利用しやすさ)について各企業によってさまざまなアクセシビリティの対策が行われています。
対象機器ごとの詳しい説明がありますので、各ウェブサイトをご確認ください。(企業名、機器名+アクセシビリティで検索してください)
Microsoft(総合)
https://www.microsoft.com/ja-jp/enable
Windows
https://www.microsoft.com/ja-jp/enable/products/windows-default.aspx
Android(Android アクセシビリティヘルプ)
https://support.google.com/accessibility/android#topic=6007234
Apple(総合)
https://www.apple.com/jp/accessibility/
iPhone
https://www.apple.com/jp/accessibility/iphone/
iPad
https://www.apple.com/jp/accessibility/ipad/
参加していただいた業者様の紹介
フィリップス・レスピロニクス合同会社
人工呼吸器、呼吸ケア用品、呼吸器用マスクなどを取り扱っています。
詳細は、フィリップス・レスピロニクス合同会社のウェブサイトをご覧ください。
日進医療器株式会社
車イスや車イス用品、介護・福祉用具などを取り扱っています。
詳細は、日進医療器株式会社のウェブサイトをご覧ください。
http://www.wheelchair.co.jp/
MMコーポレーション
リハビリテーション器具や介護・福祉用具などを取り扱っています。
詳細は、MMコーポレーションのウェブサイトをご覧ください。
https://www.mm-corp.co.jp/index.html交流会を共催した日立保健所、ひたちなか保健所、常陸大宮保健所の保健師の皆さんです。
ボランティアとしてお手伝いしてくださった茨城キリスト教大の学生さんたちです。
お疲れ様でした。お手伝いどうもありがとうございました!